2021/01/23 01:27

2021/01/22 - 23

文房具屋にいた。

長細い文房具屋の出入り口横にレジがあり、レジ前のカラフルな万年筆を眺めていた。実を言うと万年筆が欲しいわけではない。欲しいのはアリバイだ。

細長い店内、レジ側の奥には雑貨店がある。文房具屋から雑貨店を抜けた、地続きの豪邸に住む家主の男を屠ってきた。顔も思い出せないが、何か不利益を被らされていたらしい。

アリバイ作りに協力してくれる同居人が、小声でさりげなく声をかけてくる。

「俺、戻るから。」

言葉を交わしたのがバレたら、アリバイが崩れるだろ。苛立ちを隠せず一瞬睨むと、そのまま文具屋を出て行った。わたしも何か買って帰ろう。

赤と黄色のインクが入った万年筆を1本ずつ手に取り、レジへ向かう。レジ待ちの先客が5名ほどいることを確認してから気づく。わたしだけ、マスクをしていない。

夢の中でも新型コロナ感染症は猛威を奮っているらしい。客も店員もみんながマスクをつけて社会的距離を保っている。いつの間に。わたしだけがマスクをつけていない。いつの間に。このままレジへ並ぶと、目立ってしまう。

周りを見渡すと、文房具店の奥の雑貨店に食器や寝具が見えた。きっとあそこにマスクがあるはず。

万年筆を元に戻し、雑貨店に向かう。店内はジャングルをモチーフとしており、天井は木の蔓が密集しており、所々蔓が垂れ下がっている。寝具エリアを通りすぎ、食器エリア手前で異変に気付く。オランウータンがぶら下がっている。

オランウータンは食器棚へダイブした。無数の陶器が粉々に割れる大きな音が店内に響いた。文房具店含む店内全員の人間の注目が一斉に集まり、オランウータンを認めたのか悲鳴が上がる。数人が手に持った商品を投げ出して走り出す。

これに乗じてわたしも立ち去ろう。

驚いたふりをして踵を返し、走り出す。雑貨屋を出て、豪邸の庭を駆ける。豪邸の夫人や使用人が少し怪訝な目をしてこちらを見るが、店内の惨事を知れば不審には思わないだろう。